小児期での矯正治療は、成人矯正とゴールは同じですが目的はやや異なります。
ゴールは小児期でも成人でも『永久歯での正常咬合確立』であると考えています。親御さんもお子さんが大人になった時に、良い噛み合わせ、良い歯並びになることを望まれて治療を検討されているかと思います。ですが小児期では永久歯は全て萌出しないのであくまで “永久歯が生え揃った時に正常な噛み合わせになる様にする” 、といったところまでになります。つまり小児期の段階ではゴール達成を見届けることはできません。
小児期の矯正治療においては歯の移動だけでなく、顎骨の適切な方向、量の拡大、成長を促すことが大切になってきます。むしろ後者の方が優先順位は高くこの点で成人の矯正と目的が少し異なると考えています。歯の位置は大人になってからでも治せることが多いですが、顎の拡大や下顎位※等、顎の成長に関わる治療では大人よりも成長過程にある子どもの方が適応能力が高く、分があります。そしてこのような顎の位置を考慮したダイナミックな治療において顎機能検査(CADIAX®︎)は不可欠なものになります。
つまり小児期に矯正治療を行うことで歯が並ぶ土台の顎骨の成長が期待でき、さらに成人での外科矯正※や抜歯矯正※のリスクも下がると考えています。
MEAW装置は基本的に全ての歯が永久歯になった状態で使用します。小児期で乳歯がある場合には他の矯正装置を使用して治療をしていきます。
※下顎位:下顎骨の位置、特に関節窩における下顎骨の位置が大切になります。
※小児期:ここでは2歳から11歳までをさします。
※成人矯正:成人とは民法では18歳以上の事をさしますがここではあくまで永久歯歯列をもった人のことをさします。永久歯歯列は12歳以降で完成することが多いです。
※外科矯正:全身麻酔下で下顎骨、上顎骨を外科的に切って理想的な位置に移動させる手術を伴った矯正治療のこと。
※抜歯矯正:第一小臼歯もしくは第二小臼歯を抜歯して行う矯正治療をさします。